4月以降、保育園児や小学生が犠牲になる交通事故をはじめ、子どもを巻き込んだり家族の問題が浮き彫りになったりする事件が多発しています。

そして6月1日に起きたのは、元農林水産事務次官である熊澤英昭容疑者がひきこもり状態にあった長男を殺害した事件。熊沢英昭容疑者は「息子も登戸の事件のようなことを起こすかもしれないと思った」と警察に説明しました。あまりにもショッキングだった川崎市登戸の事件の反動もあり、「殺人は絶対にダメだけど、間違えたことをしたとも思えない」という同情の声も今なお多くあがっています。

成人していても親が子の罪を償うのは当たり前?

登戸の事件、そして上記で触れた元事務次官の事件の衝撃が冷めやらぬ6月16日には、大阪府吹田市の交番で飯森裕次郎容疑者が男性巡査を刺し、拳銃を強奪した事件が発生。事件の翌日には飯森裕次郎容疑者の父親であり、関西テレビ常務取締役の飯森睦尚氏が謝罪のコメントを出しました。

そして6月19日、関西テレビは「本人の意思を尊重した」という説明とともに、同氏が常務取締役を退任することを発表。世間をここまで騒がせ、男性巡査だけでなく多くの人の命を危険に晒した息子を持つ親として「辞めなければ世間に示しがつかない」という意向があったと思われます。

飯森睦尚氏のこの退任は、本当に必要なのでしょうか。2世タレントが何か問題を起こしたとき真っ先に親が謝罪し、その親の仕事に影響を及ぼす現象と重なって見えます。すでに成人をしている子どもが起こした罪の償いを、当然のごとく親がするのはなぜなのか。それを強要する社会の空気が存在しているからではないでしょうか。

「子どもを産んだのは親のエゴ」ではあるけれど…

父親に殺された熊澤英一郎さんは生前、自身のものと見られるSNSで「勝手に親の都合で産んだんだから死ぬ最期の1秒まで子供に責任を持てと言いたいんだ私は」と書き込んでいたことが明らかになっています。すべての親にとって、これほど辛辣な言葉はありません。