2週間ぶりに終値ベースで21,000円台を回復

2019年6月14日の日経平均株価の終値は、前日より84円89銭高の21,116円89銭となりました。小幅ながら3日ぶりの反発です。ただし、12日、13日の下げはそれぞれ100円以下で値動きはわずかでした。

週初10日は、前週末に米株式相場が上昇したことなどを受けて、窓をあけて21,000円超えで寄り付き、そのまま終値も21,134円となりました。終値が21,000円を超えたのは5月29日以来、約2週間ぶりです。米株上昇の背景には、米トランプ政権がメキシコに対する関税発動を見送ったことで投資家の間に安心感が広がったことがあります。

今週以降の動きはどうなるでしょうか。メキシコとの摩擦のリスクは後退したものの、米国と中国との間の貿易摩擦は長引きそうです。さらに懸念されるのは、実際に中国景気の減速感が高まっていることです。14日に中国国家統計局が発表した5月の工業生産高や1~5月の固定資産投資は市場の予想を下回りました。これを受けて14日の米株式相場は反落し、ダウ工業株30種平均は前日比17ドル16セント安の26,089ドル61セントとなっています。

今週注目されるイベントは18日、19日に開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)です。今回のFOMCでは政策金利は据え置かれる見通しです。ただし市場では利下げへの期待感が高まっており米株もそれによって上昇しています。パウエルFRB議場の記者会見でも早期の利下げを示唆するのではないかと予想されていますが、すでに織り込み済みとの見方もあり、コメントの内容が市場の期待を裏切るような結果になれば失望売りになる可能性もあります。

13日には中東のホルムズ海峡の近くで日本の船舶を含む2隻のタンカーが攻撃されました。米国とイランとの対立が激化するなど、地政学リスクが高まりそうです。

悪材料が続き、なかなか積極的に買いに回れない展開が続きそうです。特に週初はFOMCを前に様子見ムードになるのではないでしょうか。

下降トレンドが終了し、目線は上か

先週の日経平均の値動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。前週6月4日に20,289円の安値を付けた後、窓をあけて上昇しました。このあたりはちょうど2月8日の安値(20,315円)が下値サポートになっていました。 

先週はさらに週初10日に窓をあけて上昇。そのまま窓埋めすることなく、21,000円台を回復しました。 

今週以降の展開はどうなるでしょうか。チャートの形はいくつかの良い兆しがあります。まず、4月24日から続いていた下降トレンドの上値抵抗線を上抜けたことです。下降トレンドラインの終了を予感させます。この後、5月20日の高値(21,430円)を抜けると、短期的には上昇トレンドが形成されることになります。またWボトムも完成します。 

もう一つの良い兆しは終値ベースで25日移動平均線を回復したことです。まだローソク足のヒゲが長いことが気にはなりますが、先週は25日線が下値を支えるような動きでした。5日線が25日線を下から上に抜けるゴールデンクロスも形成されています。 

上値めどとしてはまずは5月20日の高値(21,430円)、その後は4月24日から6月4日までの下落の半値戻しとなる21,325円になるでしょう。また75日線の21,450円付近も目標になるでしょう。 

75日線はこれまで2018年11月8日、同12月3日と二度にわたって上値を押さえられ下落したという経緯があります。逆に今年3月11日、3月25日には75日線に下値をサポートされるような動きもありました。そういった点では75日線超えが一つの転機になりそうです。 

逆に下値めどとしては、前週の窓を埋める6月7日の20,884円、6月4日の20,435円あたりになるでしょう。

下原 一晃