高齢者の3分の2が投資経験を持つ

高齢者ほど金融資産を多く保有しているため、投資をしている人の比率も高いといわれます。実際に65-79歳11,960人を対象にした「高齢者の金融リテラシー調査」(2018年12月実施)では、42.9%が「投資をしている」と回答しています。20-59歳の現役世代サラリーマン1万人アンケート(2018年)では、投資をしている人は33.9%でしたので、高齢者の方が10ポイントほど高くなっています。

さらに、高齢者の22.8%が「過去に投資をしていたが今は全く投資をしていない」と答えていますので、合わせると3分の2が投資経験を持っているわけです。これは高齢者の大きな特徴といえるでしょう。もちろん、保有金融資産の多い人ほど投資をしている人が多く、金融リテラシーの高い人ほど投資をしている人が多いこともわかりやすい特徴です。

あと10年くらい投資を続けたい―投資をしている人42.9%

投資をしていると回答した5,127人にいつまで投資を継続したいかを聞いたところ、平均値は80.5歳でした。これを年代別に分析すると、60代後半で10年強、70代前半で9年程度、同後半で7年強といったところで、それぞれあと10年前後を投資期間として想定していることがわかります。

また「あればいいと思う金融商品」を聞くと、ローリスク/ローリターンの金融商品(22.2%)、定額で受け取れる毎月分配型投資信託(20.7%)、老後の後半の収入を確保できる保険商品(15.2%)が挙げられています。

まとまった資金がないので投資をしない―全く投資をしたことがない人34.3%

これまで全く投資をしていない高齢者4,108人にその理由を聞くと、43.6%が「まとまった資金がないから」と回答しています。現役サラリーマンへのアンケート結果(前述)では、その比率は2010年の48.4%から2018年には27.8%にまで減っていることを考えると、大きな差が生まれています。

積立投資を使い難い高齢者の場合には、依然として投資をしない最大の理由が「まとまった資金が無いから」になるのもわからないわけではありません。

儲からない、大きな損失で投資をやめた―投資をやめた人22.8%

以前投資をしていたのにやめてしまった2,725人にその理由を聞いた結果、「儲からなかった」(35.3%)と「大きな損出を出した」(20.3%)という投資の失敗を原因とする理由が過半を占めていました。保有金融資産別のセグメントでも、金融リテラシー別のセグメントでも、その比率はそれほど変化がありませんでした。

ただ、資産が多い人ほど投資をやめた理由に「年齢的な要素」が強くなり、金融リテラシーが高い人ほど「年齢的な理由」から「投資資金不足」へと理由が変わっていくこともわかりやすい特徴です。

高齢者の投資経験 (単位:%)

出所:フィデリティ退職・投資教育研究所、高齢者の金融リテラシー調査、2019年2月

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合同会社フィンウェル研究所代表 野尻 哲史