好調な米株の動きを受けて日経平均も週初から続伸か

2019年6月7日の日経平均株価の終値は、前日より110円67銭高の20,884円71銭となりました。ダウ工業株30種平均が4日続伸するなど、米株が好調なことを受けて、投資家の間に買いが進みました。外国為替市場で円高が一服していることなども投資家の安心感につながりました。

ここ数週、米国と各国の通商摩擦が相場の重荷になっています。米中の貿易摩擦は一時、改善に向かうとも見られましたが、中国の通信機器最大手、ファーウェイ(華為技術)に対する米国製部品などの禁輸措置の発動、中国の報復措置の発動などもあって、楽観できない状況です。8日には20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が福岡市で開幕され、麻生太郎財務相も米中貿易摩擦の影響による世界経済の下振れリスクを指摘しました。

今週以降の動きはどうなるでしょうか。トランプ米大統領は5月30日、メキシコの不法移民対応を巡り、メキシコ製品に対して追加関税をかけると発表しました。しかし7日夜には関税発動の見送りを表明。7日のダウ平均は5日続伸で終えています。一時26,072ドルと、2018年10月の史上最高値(26,828ドル)まで800ドル弱に迫る局面もありました。

同日には5月の米雇用統計が発表されました。結果は、非農業部門の就業者数が前月比で75,000人増にとどまり、事前の予想(18万人増)を大きく下回るものでした。ところが、それにも関わらず株は大きく上昇しています。その理由は、これにより、米連邦準備理事会(FRB)が利下げを行うのではないかという期待が高まっているからです。

米株の上昇が好感されて週明けの日本株も買いが進む可能性があります。ただし、利下げが行われると円高傾向になることも多いので注意が必要です。18日~19日の連邦公開市場委員会(FOMC)の結果が注目されます。

一つ懸念されるのは、日経平均の商いがやや細っていることです。7日の東証1部の売買代金は概算で1兆6359億円と2兆円を割り込んでいます。トランプ氏の言動などにより、相場が急に動くことがあるので注意が必要です。

下降トレンド継続中ながら、自律反発も予感させる

先週の日経平均の値動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。前週末は直近の下値めどである5月14日の安値を割り込んで終えていました。先週はここを回復できるかどうかが一つのポイントでしたが、週初3日に大きく窓をあけてさらに下落。翌4日もその窓を埋めることができませんでした。

しかし、4日のローソク足は長い下ヒゲとなっており、投資家の迷いも感じられます。実際に5日には窓をあけて上昇すると、窓埋めだけでなく、31日の大きな下落分も回復しました。

今週以降の展開はどうなるでしょうか。チャートの形としてはまだ4月24日からの下降トレンドが継続中です。しかし、先週の上昇で5日移動平均線を回復し、さらに下降トレンドのチャネルの上限(上値抵抗線)にも迫って自律反発も予感させます。

今週、このラインをさらに上抜けると、4月24日から続く下降トレンドラインが崩れます。直近の高値である5月20日の高値(21,430円)を超えれば、下降トレンドラインは完全に終了します。その点では、今週はこのあたりが目標になるでしょう。75日線にも重なるため、ここを超えれば、4月24日の高値(22,362円)あたりまで視野に入ってきます。

逆にここから25日線付近で上値を押さえられるようなことがあれば、6月4日の安値(20,289円)や、目先意識されやすい2万円あたりが下値めどになるでしょう。

下原 一晃