『長期休暇に公共交通機関を利用して実家へ帰省。帰省中の移動手段は親が所有する自家用車』…よくあるパターンですよね。もし、家族の中に6歳未満の乳幼児が含まれているのであれば、親の車にも必ずチャイルドシートを設置しなければいけません。

しかし実際には、「帰省中だから、チャイルドシートなんて使わなくても大丈夫でしょ?」なんて平然と言い放つ大人たちがまだまだ存在するようです。

■チャイルドシート使用「66.2%」という現実

“子どもを車に乗せるときには、チャイルドシートが必要”-もはや常識ですよね。それもそのはず、チャイルドシートの使用を義務づける法律が施行されたのは2000年4月。施行から20年近くが経とうとしているのです。道路交通法によると、自動車の運転者はチャイルドシートを使用しない6歳未満の幼児を乗せて、運転してはならないことが決められています(道路交通法第71条の3第4項)。

チャイルドシートの使用が免除されるケース

・疾病のためチャイルドシートを使用させることが療養上適当でない幼児を乗車させるとき
・座席の構造上、チャイルドシートを固定することができないとき
・バス・タクシー等に乗るとき など

一部、使用が免除される場合もありますが、基本的には自家用車に子どもを乗せるときには必ずチャイルドシートを使用するというシンプルなルールです。しかし警察庁とJAF(一般社団法人日本自動車連盟)が、2018年4月20日~4月30日の期間に合同で実施した全国規模の調査によると、チャイルドシートの全国平均の使用率は66.2%と発表されています。本来100%であるはずが、なぜここまで低くなってしまうのでしょうか。

その要因のひとつに、他人が所有する車に子どもを乗せるときに、ルールが守られていない可能性もあるかもしれません。では、実施に筆者が遭遇したチャイルドシートに関する「危ないケース」をご紹介しましょう。

■チャイルドシート3台不足も大人たちは余裕モード

あるお盆休み…筆者の実家に高校時代の仲間2人とその子どもたちが遊びに来てくれる予定でした。そのうち1人は地元に住む、5歳・3歳・1歳の3児のママ。そしてもう1人は帰省中で、4歳・1歳の2児のママです。

筆者の自宅前に着いたと連絡があったので、迎えに行ってみると…そこには7人乗りのミニバンが1台。運転席と助手席には友人2人が座っています。後部座席には、2人の1歳児のみがチャイルドシートを着用し、そのほかの3歳・4歳・5歳の3人子どもたちは最後尾のシートに直接座って、楽しそうに遊んでいました…。

帰省中の友人の子ども2人分のチャイルドシートがなかったことに対しては、まだ状況を理解することはできます。しかし車の持ち主である友人は子どもが3人いるため、少なくともあと1台はチャイルドシートがあるはずですよね?そこで、「あれっ?チャイルドシートはどうしたの?」と聞くと、友人たちは答えました。「チャイルドシートが大きくて、後ろのシートに子ども3人座るには狭かったから取り外したの!おかげで、みんなで一緒に来られてよかったよね~!」と満足気。子どもたちを危険にさらしているという感覚は、一切ないように見受けられました。

“楽しさ”や“便利さ”という短絡的な理由でチャイルドシートを利用しなかったときに、もしも交通事故に遭い、子どもが大けがをしてしまったら…親は後悔してもしきれないでしょう。ちなみに前述の警察庁とJAFが行ったチャイルドシート使用状況の調査結果によると、17.3%が「車両シートにそのまま着座」という状況であり、チャイルドシートを正しく使用してないケースの中で最も多いのがこのパターンです。

■「普段子どもはいないから」という言い訳が通ると思っている祖父母