今の小学生の親世代にとって、宿題を忘れてきたら居残りで勉強したり、再テストを放課後に受けるのは珍しいことではありませんでした。筆者も、小学5年生の時に漢字のまとめテストで合格点に達せず、再テストを放課後受けた経験があります。

しかし、筆者の子供たちの話によると、放課後に教室で居残り勉強をすることはほとんどないようです。居残ることがあっても図工の作品が遅れているなどの理由で、再テストといった勉強系に関わるものではありません。勉強系は業間休み※や昼休みに行われることが多いそうです。

また、宿題を忘れた時も授業と授業の合間にやらせるなど、居残り勉強をさせないよう先生方が指導していることを、子供達の話から感じ取っています。そこで今回は、居残り勉強を回避する傾向が強い理由を考えていきたいと思います。

※2時間目と3時間目の間などにある少し長めの休み時間

居残り勉強で下校時間が遅れる

まずは、学校側が居残り勉強を避けたい理由を探っていきます。

学校での居残りでレッスン時間が短くなる

学校と家の間に習い事教室があると、子供は下校の際にそのまま直行できるメリットがあります。筆者の子供たちが通う小学校でも、スイミングのバッグ、ピアノ教室のセットや学研、公文にそろばんなどの習い事カバンを手に通学している子がいます。

居残り勉強になると、習い事に行くのが遅れてしまいます。そうなると、習い事先の先生が心配したり、ピアノやスイミングのように時刻が決まっていると通常レッスンより短くなることもあるのです。親としては、月謝を払っている習い事の受講時間が短くなるのは不本意なことです。

先生のお説教タイムの影響で習い事に遅刻

これは筆者の子供の体験談です。小学1年生の秋に起きました。その時の担任は、昔ながらのベテラン教師だったことを最初に伝えておきます。

ある日、帰りの会で担任の先生がクラスで起きた問題について話をし始めました。いわゆる、お説教タイムです。問題に関係のない子も含めて延々と続き、普段より20分遅れて下校。

なかなか帰ってこない我が子が心配になり、筆者も思わず学校まで迎えに行きました。幸い家を出てすぐに会えたのですが、習い事のあるクラスメイトは大変だったようです。翌朝、子供が学校に行くと、何人かの子が「習い事に遅れたから大変だった」と口にしていたといいます。

その中の1人はそれ以降、ある時間になると掃除中でも途中で帰るようになりました。もちろん、クラスメイトはその行動に納得していませんが、「習い事に遅れるから先に帰る」の一点張りです。先生も容認しているので、筆者の子供も含めて違和感を感じる子は多くいました。

事の真相はというと、習い事に遅れるのを嫌がった親が、先生に定刻で帰らせてもらうことを認めさせたようでした。

習い事と居残り勉強の板挟みに悩む先生たち vs. 親の思惑