昨年夏に第一子を出産した筆者は、出産前に保育士として保育園に勤務していました。その経験があるからか、夫が忙しい中でのワンオペ育児の状況でも「すでに赤ちゃんには慣れているから、育児も楽勝でしょう」と言われることがあります。

しかし、実際に子育てをしていると仕事とは明らかに質の異なる大変さを感じることも少なくありません。保育士経験を経ても、子育てにおいて大変さやツラさを感じたことについてご紹介します。

オンオフが切り替えられない難しさ

言うまでもありませんが、保育士は仕事として子どもを預かっており、家庭内での子育てはプライベートです。仕事で子どもとずっと過ごす保育士も、仕事中と仕事外では頭も体も切り替えることができます。

この“切り替え”の重要性は、実際に子育てしていて毎日痛感すること。仕事であれば「あと2時間で終わる」「よし、今から出勤だ」とプライベートと仕事をスイッチングできますが、家庭内での子育てはそういきません。朝夜関係なく泣いたりミルクを欲しがったりする我が子に、つきっきりで対応しなくてはいけないからです。

特に保育園やベビーシッターを利用せずワンオペ育児をしていると、誰かに交代できないので、時間による区切りがありません。24時間、頭も体もずっとオン状態にして赤ちゃんのお世話をすることになります。産後は、「このお世話が永遠に続くのではないか」と、ブラックホールのように思考回路が真っ暗になってしまうこともしょっちゅうありました。

複数の大人で子どもを見る安心感を得にくい

保育園では、保育士はお互いにコミュニケーションを取り合いながら業務をこなします。

「〇〇ちゃんは今朝体温が高かったので、今日はこまめに検温をするようにお願いします」「〇〇くん、ウンチしたようなのでオムツ取り替えますね」「〇〇ちゃんが給食後に少し吐き戻しをしてしまったので、あとで忘れずにお母さんに報告しましょう」と、細かい事柄を確認し合ったり声を掛け合ったりして、子どもの安全を複数人で見守っています。

仕事で当たり前だった、この“大人同士のコミュニケーション”が家庭内の子育てでいかに少なくなってしまうのか、そしてそれがいかに大事だったのかを筆者は身をもって知りました。産後の子育ては、とにかく孤独との戦いだったからです。

まだ言葉を話せない赤ちゃんと二人きりで家の中にいるのは、思っている以上に精神的にツラいものがあります。そして仕事スイッチを入れていた時はできていた「わ~、今日も元気だね~」「お腹空いたかな?」といった赤ちゃんへの話しかけが、我が子に対しては精神的な余裕がなくてできずにいた筆者。産後はただ黙々と、授乳やオムツ替えをこなすだけのロボットと化していました。

そして保育士の時のように誰か大人がそばにいて、「〇〇先生、どうしましょうか」「〇〇ちゃんの今日のお洋服、似合っていますよね~」と気軽に話しかけることができない息苦しさ。黙々とスマホで検索したりSNSを見たりして、誰かと話して得られるはずの安心感を得ようとしていました。

お給料が発生することの責任感とやりがい

仕事としてお給料が発生する保育士とは異なり、家庭内の育児は無償です。