2019年4月10日に日本証券アナリスト協会主催で行われた、久光製薬株式会社2019年2月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

スピーカー:久光製薬株式会社 代表取締役社長 最高執行責任者(COO) 中冨一榮 氏
久光製薬株式会社 取締役執行役員 IR室長 髙尾信一郎 氏

2019年2月期決算説明会

中冨一榮氏:久光製薬の中冨と申します。本日はお忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。冒頭に流れていましたビデオについてですが、オリンピックの協賛が2018年2月に決まりまして、それに向けて、会社の方針や今までの活動を、元プロゴルフ選手の宮里藍さんにご協力いただいて、日本から世界へ、ビデオを使って企業活動をPRするために作らせていただきました。

それでは私から、2月期の決算および2020年の業績予想について説明を申し上げます。4月1日に新元号の発表がありましたけれども、平成の31年間を振り返ってみますと、会社の業績の抜粋で、売上が平成元年が262億円、平成31年2月期で1,434億円と、約5.4倍です。

純利益が約10億円から197億円で、19.7倍。従業員の数が771名から2,871名で、3.7倍。株価に関しては484円から5,500円で、11.3倍となり、ここまで無事に終えたと思っています。これも、みなさま方のご支援のおかげだと思っています。新しい元号「令和」に関しましても、引き続きご支援をよろしくお願い申し上げます。

1.2019年2月期の振り返り(1)

3

それでは、業績発表いたします。まず、上段にある黒い文字の部分が医療用医薬品の第1四半期から第3四半期までの実績で、オレンジ色の文字の部分が第4四半期の主なトピックスです。

「ノルスパン®テープ」を販売していましたけれども、ムンディファーマ社に販売を移管いたしました。そして、HFT-290「フェントス®テープ」の0.5ミリグラムを12月に発売しておりますが、オピオイド鎮痛剤未使用患者に対する国内第Ⅲ相臨床試験についても終了しています。3番目が、HP-3070で、統合失調症の治療剤ですが、アメリカに申請を行いました。そして、HP-3000はパーキンソン病の治療剤で、国内の販売契約を、協和発酵キリンさんと結ばせていただきました。

1.2019年2月期の振り返り(2)

4

上段が一般用医薬品ですけれども、第4四半期に「アレグラ®」の56錠を新発売いたしました。その他は、「久光製薬スプリングス」が天皇杯・皇后杯で、2年ぶり8度目の優勝を果たしました。また、自己株式の100万株の取得が終わりまして、子会社の株式譲渡ということで、九動という会社の株式を譲渡いたしました。

なお、スプリングスの試合が今週末にあり、4月13日に武蔵野の森総合スポーツプラザで、東レさんと対戦しますので、ぜひお時間がありましたら、会場までお越しいただければと思います。

1.2019年2月期の振り返り(3)

5

こちらが2019年2月期の振り返りの3つ目です。サロンパス群の売上の推移ですが、左側が2015年2月期で、中計で発表しています2022年の2月期までのものです。今期を振り返ってみますと、「サロンパス®」が330億6,200万円で、海外で217億7,200万円、国内で112億8,900万円という結果に終わりました。中計で発表しています450億円という目標に向けて、またそれ以上になるような活動を継続してまいります。

全体の数字に関しては、IR室長の髙尾からご説明を申し上げます。

2.連結損益(1)- 対前期実績 -

6

髙尾信一郎氏:髙尾でございます。では、数字の説明をさせていただきます。まず、

「サロンパス®」に関するところは、ブランド別の売上のところで、もう少し詳しく説明させていただきたいと思います。

売上高ですけれども、赤枠で囲っているところが2019年2月期の実績となります。売上高は1,434億800万円。前年と比較しますと約50億円のマイナス。増減率が3.4パーセント。期初に出しました1,485億円と比較しますと、マイナス3.4パーセントとなりました。

販管費は664億100万円で、前年と比較して5億円強増加しています。大きなところでは、広告費が21億200万円のプラスが出ています。また研究費が20億円のマイナスですが、これは116期、つまり前々期ですけれども、「HP-3070」という統合失調症の治験、パーキンソン病関連の「HP-3000」の臨床試験がありまして、それが終わったことが大きく影響しています。

営業利益は222億7,800万円で、(前年同期比で)マイナス46億6,100万円。比率では、マイナス17.3パーセントです。期初に発表しました240億円の予想と比較しますと、マイナス7.2パーセントにとどまることができました。

経常利益は246億4,700万円で、増減額が(前年同期比で)マイナス35億円。比率ではマイナス12.7パーセントですが、当初の通期予想が263億円ですので、マイナス6.3パーセントでした。いずれも(予想に対して)10パーセント以内で収まっているという状況です。

親会社株主に帰属する純利益は192億400万円。わずか400万円ですけれども、(予想に対して)多少なりとも上回ることができました。

今回、売上高で、計上方法を一部変更しています。2019年2月より「受取ロイヤリティー」を「売上高」に含めています。これは、販売許諾権や、当社の研究開発の成果に関わる部分で、これまでですと特別利益で一時的に上げていたりしたのですが、今後、継続して発生するところが見込まれることもございますし、かつ、金額も大きくなってきているところから、2019年度2月期より「売上高」に含めることに変更しています。それに伴いまして、2018年2月期の数字も同じ水準に合わせています。

2.連結損益(2) - 主な差異理由 -

7

売上高は、先ほど言いましたとおり1,434億800万円でございましたけれども、売上原価は547億2,700万円で、マイナスの額としては9億6,000万円減っています。ただ、原価率にしますと38.2パーセントで、0.7パーセントほど悪化しています。理由といたしましては、当然ながら国内の医療用医薬品の薬価改定です。価格が下がりますので、どうしても原価率は上がります。そこは生産性の改善等でカバーしたりはしています。

それに加えて、売上高の構成比(も関連します)。当社のメインである「モーラス®テープ」の売上比率が少し下がっているところがあり、原価率のいいものが下がって、(原価率が)高いものの売上比率が上がっています。

その中には「アレグラ®」という導入品が……昨年は花粉が多かったこともあって、大きく伸ばしているのですが、原価率が高いこともありまして、本期は38.2パーセントと、昨年と比較して0.7ポイント高くなっています。

販管費はご説明しましたので、次は営業外収支です。昨年と比較しまして、10億6,300万円増加して23億6,800万円となっています。

主な差異といたしまして、持分投資利益の増加におきましては、先ほど言いました「アレグラ®」に関連して、関係会社の久光-サノフィが管理会社になっているのですが、累損が解消いたしました。

そういったこともあって、持分法利益が大きく伸びました。これが、増減額の約半分の5億円弱ほどでございます。あとは、為替差損の減少ですが、レートの問題で、ここも2億5,000万円弱ぐらいプラスで、営業外収支としては改善しました。

特別収支ですが、昨年のマイナス5億5,100万円から、今年はプラス10億2,600万円で、15億7,700万円ほど増加していますが、前期は減損を行っています。中身といたしましては、使う見込みがない機械設備、筑波(研究所)の工事といったもので、減損がございました。今期は投資有価証券の売却で、これは政策保有株式の縮減です。ガバナンス・コードでも謳われていますけれども、それと関連したところで株式の売却を行っています。そうしたことから、大きく15億円のプラスとなりました。

3.地域別売上高

8

売上高としては1,434億円ですが、従来の分け方ですと、日本の個別単体、Noven、その他としていました。今回は医療用医薬品、一般用医薬品・その他と、その他の事業で分けまして、その中でまた、日本・米国・その他の地域で組み分けをし直しています。

そうしてみますと、医療用医薬品の中で日本は、2019年2月期の実績が673億8,400万円で、昨年と比較して61億6,000万円、8.4パーセントのマイナスです。米国は156億2,800万円で、前年と比較してマイナス25億5,600万円、増減幅ですとマイナス14.1パーセント。その他の地域は、医療用が28億6,900万円で、マイナス4億5,800万円、比率ではマイナス13.8パーセントです。

一般用医薬品・その他の中で、日本は285億2,900万円で、前年と比較して16億6,300万円のプラスでした。増減率は6.2パーセントでございます。米国は111億3,700万円で、14億3,800万円増加しました。率として14.8パーセントのプラスです。その他の地域は、144億1,300万円で、プラス9億5,700万円、7.1パーセントのプラスです。

その他の事業は、ケーブル会社等になりますけれども、34億4,700万円で(前年同期比)プラス5,800万円、プラス1.7パーセントという数字になりました。中身につきましては、この後に説明させていただきます。

4.商品別売上高(1)- 医療用医薬品/対前期実績 -

9

医療用医薬品の合計は、連結ベースで858億8,100万円です。「フェントス®テープ」「ノルスパン®テープ」は(前年と)同じようなところです。日本の場合は、その他の項目のところに、先ほど言いましたロイヤリティーの売上が入りまして、Novenの売上となった海外ロイヤリティー等については、Noven その他の項目に入っています。

そして、新商品「アレサガ®テープ」は前期、新発売した年で2億3,000万円にとどまりました。花粉症は治る病気ではなく、症状を抑えるというところで、ドクターのところに行ったときに、長期間分を出してもらいたい(という要望があります)。それに対して、まだ発売して間もなく、1年も経っていなかったこともあって、14日間分しか出せないという状況でした。それでは、患者さんにとって利用しづらかったのかなというところがございます。

今年は、2月にテレビのニュース等で、花粉が多く飛んでいると報道され、その中で「貼付剤があるんです」という内容もかなり流れたりしました。そこを2月までの売上の中でうまく取り込むことができなかったということです。

4.商品別売上高(2)- 一般用医薬品・その他/対前期実績 -

10

一般用医薬品・その他では、先ほど言いました「サロンパス®」が330億6,200万円。日本で112億8,900万円、海外で217億7,200万円でした。(前年同期比での)増減額は、日本で5億6,900万円、海外で31億円。伸び率では、日本が5.3パーセント、海外が16.6パーセントでした。

第3四半期で発表させていただいたときには、日本が4.2パーセントでした。それが5.3パーセントになりましたというところと、海外は7.2パーセントのプラスでしたので、みなさまとしては、前々期から比較したときに、2桁ではなく1桁でとどまっているところで、海外がなかなかうまく伸びていないんじゃないかと不安視されていたとは思います。しかし、もともと計画時点で、どちらかと言うと期末にかけて売りが上がるという事情がございまして、着地としては16.6パーセントの増減率を達成でき、ほぼ計画どおり着地することができました。

ただし、今後は東京オリンピックをはじめ、いろいろなイベントがありますし、元号が変わったところで、小売店さんもそういったことをきっかけに、いろいろなイベントをやられるかなと思いますので、そういったところをうまく取り込んで、今後もやっていきたいと思っています。

5.国内医療用第2世代貼付剤の動向(1)

11

前から説明していますけれども、国内の医療用の第2世代貼付剤の動向でございます。2016年4月の「70枚処方制限」は、1回の処方での最大処方枚数が70枚に制限されました。そこから、市場はシュリンクしていまして、まだまだ51億枚も処方されてはいるのですが、若干落ちてきている状況は変わっていません。

直近だけ見ると、やや横ばいになったかなというところはございますけれども、それは1年前にも同じことを言っていましたので、もう少し様子を見ないと何とも言えないところです。

薬価の改定などを含めて市場データを見ると、貼付剤が落ちて、経口剤は非常に落ち幅が少ないです。やはり、高齢者でこういった薬を必要とされる方々は減ってはいませんので、そういった意味では後発品を出しやすい経口剤であるとか、新薬がある経口剤が出されている傾向があるのかなとは思っていますけれども、「では、それをどうやって貼付剤に戻すか」といったところが、まだ見えていない状況でございます。

5.国内医療用第2世代貼付剤の動向(2)

12

そういったこともございまして、2019年2月期の「モーラス®テープ」と「モーラス®パップ」のシェアは、40.6パーセントでした。市場は非常に厳しいですが、必要とされるものでございますので、患者さまには、今後も力を入れてご案内していきたいと思っています。

6.研究開発パイプライン

13

第3四半期と変更点があったところは、6番の「ATS」のところで、現在は2020年の申請予定でございます。第3四半期のときには、「2018年にフェーズ3開始」という表現をしていたんですけれども、今回はスライドに書いていますように、フェーズ3のところに「*」を付けていますが、大規模な有効性・安全性試験ではなく、使用性試験(ユーザビリティ試験)を含む4試験を実施することになります。

これまで説明させていただいたことがあったと思うのですが、本来は、例えばプラセボとの有意差の比較といったものを求められるのですが、この「ATS」に関しては、それらの試験は不要となっています。

したがって、貼付剤としてきちんと貼って、それがテープ剤と同等に血中に入ったりとか、患者さんが、きちんとその貼付剤を使用することができるかどうかといった、ユーザビリティに関わる部分だけの試験ですので、それが終われば申請できるということで考えています。通常の「フェーズ3」と言われるものに比べれば、長期化することは非常に少ないと思っています。

7.連結損益 -業績予想-

15

ここからは、今期、2020年2月期の業績予想の説明をさせていただきます。2020年2月期の通期業績予想ですけれども、このだいだい色の枠の中の説明をさせていただきます。

売上は1,435億円で、前年同期比でプラス9,200万円。増収を狙っていきたいと計画しています。売上原価は526億円、原価率が36.7パーセントで、1.5パーセントほど改善する見込みになっています。販管費につきましては680億円で、15億円強、16億円弱増加することを計画しています。

大きく違うところでは、広告費の148億円で、前年同期比で17億1,100万円の増加としています。「東京2020」の前年にもなりますし、いろんなイベント等がありますので、そこをうまく取り込んでプロモーションにつなげていきたいと思います。

これも先ほどの繰り返しになりますけれども、元号が変更になったというところもございますし、いろんなところでうまくやっていきたいと思っています。

営業利益は229億円で、(前年同期比で)6億2,200万円のプラス。経常利益も255億円で、8億5,300万円のプラス。親会社株主に帰属する純利益は194億円で、2億円弱のプラスで、1パーセント増益です。このように、増収増益を計画して進んでいるところでございます。

8.地域別売上高-業績予想-

16

エリア別で見ますと、医療用医薬品は、日本では661億円で、前年と比較してマイナス12億8,400万円。米国は106億円で、50億2,800万円のマイナス。その他の地域は37億円で、8億3,100万円のプラス。一般用医薬品・その他につきましては、日本では296億円で、10億7,100万円のプラス。米国では129億円で、17億6,300万円のプラス。率でいきますと15.8パーセントです。

その他の地域でも、売上高は178億円で、33億8,700万円、23.5パーセントのプラスという計画です。またその他事業といたしましては28億円で、マイナス6億4,700万円、マイナス18.8パーセントです。2月末に、動物の飼育・販売をやっていました九動株式会社の株式を譲渡したためです。その影響といたしまして、その部分はマイナスになっていますが、全体としては、大きくはないですが、増収増益を計画しています。

9.商品別売上高(1) -医療用医薬品/業績予想-

17

商品別に見ていきます。大きく違うところでは、医療用医薬品の中では「アレサガ®テープ」が24億円です。先ほど言いましたように、今期は前年同期と比較しますと21億7,000万円増やそうというところです。先ほどお話ししましたように、これまでは14日間分しか処方できないという、非常に高い壁がございました。それが5月1日から解除されますので、進めていきたいと思います。

テレビ等でも言われていましたように、抗アレルギー剤としては初めての貼付剤となります。外出していても、水も不要で単純に貼るだけです。一般的なものはお風呂に入る前に剥がされて、お風呂に入った後に貼って寝るというサイクルが多いようですが、貼付剤の場合は剥がした後でも、皮膚には薬剤が残っています。ですので、「基本的に、ずっと一定した薬剤を保てる」というところです。

経口剤は、飲みかえるものだったりすると、若干効き目が落ちたりする傾向がございます。それに比べて、テープ剤のよさをアピールしていきたいと思っていますので、かなり今期は力を入れてやっていく計画でいます。

9.商品別売上高(2)-一般用医薬品・その他/業績予想-

18

サロンパス®群では、連結ベースでは前年同期比で13.1パーセント増やしています。日本では、大きく伸ばすことができず、2.8パーセントほどの増加を見込んでいますが、海外ではまた大きく2桁、18.5パーセント伸ばしたところで、258億円を目標としています。

サロンシップ®群は、全体で41億円、前年同期比で6億8,500万円の増加です。とくに日本で伸ばしていく計画になっていますけれども、これにつきましては、逆に言うと、昨年に大きく利益を落としています。

「のびのび®サロンシップ®α」という、粘着力を改善したものを新発売して、それに切り替えようとしています。もともと、湿布剤と呼ばれる物へのお客さまの不満点として、粘着力が弱い……要するに剥がれやすいといったところがありましたので、そこを改善したものを出しました。

付加価値を上げたことによりまして、価格もちょっと上げさせていただいていますが、そのよさをうまく伝えきれておらず、117期(2019年2月期)はどうしても価格で負けていました。そこを挽回さえできれば、ここで言う(売上高)29億円は達成可能であろうというところで、率としても大きく、29.5パーセントの伸びを計画しているところでございます。

一方で、前期から好調だった「アレグラ®FX」につきましては、花粉の量にもよりますが、「昨年のようには伸びないであろう」という見込みで、マイナス7億800万円と見ています。率としては2桁、15.7パーセントのマイナスを見込んでいます。一般用医薬品の全体としては、(売上高)603億円、(前年同期比)11.5パーセントということで増やしていく計画でございます。

10.配当予想

19

最後になりますけれども、配当についてです。2019年2月期が、期末に41円25銭を足して82円50銭です。前々期の116期と比較すると50銭増配になっています。今期も同じく50銭を増配して、83円を予定しています。これによって、7期連続での増配を計画しています。

以上が説明になります。ありがとうございました。

記事提供: