最近よく聞くのがクラウドファンディングでの資金調達。ここのところ、その存在も定着し、資金調達手段のひとつとして広く知られてきています。

この動きに政府も注目しており、クラウドファンディングで資金調達の実績がある場合、補助金の審査で加点されるといったメリットまで出てきました。そこで、改めてクラウドファンディングとはどのようなものなのかを見ていきましょう。

クラウドファンディングとは

クラウドファンディングとは、インターネット上のウェブサイトを通じて大勢の人からお金を集める資金調達手法です。クラウドファンディング(crowd funding)のクラウドは雲(cloud)ではなく、群衆(crowd)です。つまり、クラウドファンディングとは、群衆からお金を集めることをいいます。

クラウドファンディング的な仕組みの歴史は古く、米国ニューヨークにある自由の女神像の台座も、100万人以上の人が1ドル程度の寄付を行い、資金を集めて建てられました。

クラウドファンディングの種類

クラウドファンディングでは、支援してくれた人にリターン(見返り)を渡すのが基本的な仕組みです。このリターンの内容により、1. 寄付型、2. 金融型、3. 購入型に分けられます。

1. 寄付型クラウドファンディング

寄付型は文字とおり見返りは求めずに純粋に寄付を行うものです。リターンはお礼のメールやウェブサイトでの経過報告などです。社会起業的なプロジェクトを応援するときに利用されるケースがほとんどです。

2. 金融型クラウドファンディング

金融型クラウドファンディングには融資型と出資型があります。融資型は集めたお金を融資先へ貸し出します。投資型は集めたお金を投資先へ投資します。リターンは運用益から受ける配当金となります。出資法や金融商品取引法など法律上の制約があり、金融型クラウドファンディングはまだまだ少数です。

3. 購入型クラウドファンディング

購入型クラウドファンディングは、リターンに商品やサービスを設定したものです。クラウドファンディングといったら購入型をイメージするというくらい、現状のクラウドファンディングの主流となっています。

コンテンツに強いものや地域に根ざしたもの、女性起案者限定のもの、スポーツに関するプロジェクトに限定したものなど、多数のクラウドファンディング事業者がそれぞれ特徴を出しています。購入型は、商品のPRやテストマーケティング、広報宣伝などの使い方ができる点が特徴です。

クラウドファンディングの流れ

では、改めてクラウドファンディングの流れを見ておきましょう。主流である購入型クラウドファンディングの例を取り上げます。

まず、起案者(クラウドファンディングでお金を集めたい人)は、クラウドファンディング事業者が準備するウェブサイトに資金調達を行いたいプロジェクトを起案します。つまり、クラウドファンディングのサイト上で、自分が行いたいプロジェクトについて文章や写真で説明をし、支援コースごとの金額や目標金額などを記載して応援を請います。

プロジェクトに共感したパトロン(応援したい人)は、支援コースを選択して支援金額をクレジットカードなどで決済します。起案者には、後にクラウドファンディング事業者の手数料を引いた金額が支払われます。

うまく活用すれば、スタートアップにとって、PR的な要素もあるクラウドファンディング。公的融資や個人投資家などの投資以外で資金調達の幅を広げたい場合は、クラウドファンディング事業者や専門家などに相談してみてはいかがでしょうか。

中野 裕哲