2019年2月18日に日本証券アナリスト協会主催で行われた、リファインバース株式会社2019年6月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

スピーカー:リファインバース株式会社 代表取締役社長 越智晶 氏

2019年6月期 第2四半期 決算トピックス

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越智晶氏:リファインバースの越智でございます。それでは、当社の2019年6月期第2四半期の決算説明をさせていただきます。

まず、この第2四半期の概況です。足元の業績に関しては、大変厳しい状況にありますが、期首に掲げた今後の大きな成長に向けて、必要な打ち手を着実にこなしているところです。

事業環境そのものは非常に良好な状況が継続しておりますので、増収が続いております。しかし、ナイロンリサイクル事業の早期化、早期の立ち上げのために諸々の費用が前倒しで発生したことなどで、費用が増加しています。

業績は、再生樹脂事業に関しては、昨年度(2018年度)から始めた製鋼副資材製造事業の売上が非常に堅調に推移しております。ただし、後ほどご説明いたしますが、この(2018年)秋口に行った既存工場の修繕工事に伴い、我々の(製品の)材料となる、カーペットの原料の受け入れを一部停止したことの影響を受けて(利益が減少して)おります。

カーペット原料の受け入れ時の売上(ゲートフィー)が、この受け入れ停止期間は得られていないということが影響していますが、製鋼副資材の売上における純増分がこれを補い、再生樹脂事業の売上増に非常に貢献しています。

また、期首の段階では、今期中に新規事業としてナイロンリサイクル事業の立ち上げを実行するとご説明いたしました。こちらについては、(2019年)4月から実際に工場が稼働し、収益が出始めるという見通しが立っています。こちらが事業の前倒しということで、費用が増加しているところです。

産廃処理事業については、マーケットの環境が非常に良好で、リフォーム・リノベーションの需要を捉えて堅調に推移しており、増収です。ただ、中国の廃プラ輸入がストップした影響などで、廃棄物の焼却コストや埋め立て処理コストなどの産廃処理費用が増加しております。

これらの費用については、半年前の(2018年6月期)決算説明会でご説明したとおり、今後も中長期的に高止まりしていくだろうという見込みでございますので、お客さまへの価格転嫁という施策を進めております。

この第2四半期まででは、価格転嫁の効果はまだ数字としてはっきり現れていませんが、価格転嫁については90パーセント以上のお客さまから了承を得られておりますので、第3四半期以降は価格転嫁による回復を見込んでおります。

販管費としては、監査報酬が大幅に増加しております。監査報酬の増加により販管費が増加しているということが、全体の収益に大きく影響しています。

次に、新規事業の状況です。ナイロンリサイクル事業の新拠点の開設が正式に決定いたしまして、(2019年)1月10日にリリースさせていただいております。愛知県一宮市に、新しい事業拠点を設けることといたしました。予定どおり、年間3,000トン程度の能力を持つ新しい設備を設置し、4月の運転開始に向けて、現在立ち上げの準備を進めているところです。

後ほど詳しくご説明しますが、この愛知県一宮市に拠点を設けた理由は、既存の工場、遊休の工場をうまく活用することで、熱源や排水といった、いわゆるユーティリティーの投資コストを抑えるということ。また、既存の工場を活用することで、早期に立ち上げができるということです。

愛知県一宮市で、遊休の工場になっていたところを借り受け、リサイクルに必要な小型設備だけを我々が持ち込んで、かなりのスピード感を持って立ち上げていこうと思っております。

また、製鋼副資材は、需要が大変旺盛です。昨年度(2018年度)に設置いたしました、千葉県富津市にある製鋼副資材の製造設備は、現在、24時間のフル操業で回しております。

基本的には、そこでできたものは全量を販売していますが、こちらの千葉県富津市の設備のキャパシティでは、(需要に)まったく追いついていません。そのため、生産能力を大幅に引き上げ、増産に向けた生産体制を確立するということが、大きな課題になっております。

製鋼副資材製造事業は、昨年度(2018年度)から始めた新しい事業であり、立ち上がって約1年という中で、お客さまの評価も極めて良好で、「もっと欲しい」とかなりの量の需要があります。製鋼副資材の増産体制を早期に確立するため、現在、準備を進めているところです。

そして課題ですが、今期の大きな課題、今期のテーマは、来年度以降の大きな成長に向けて、諸々の基盤を整備していくということです。これから前に向かっていく新規事業については、積極的な投資を行っております。

また、既存事業の設備の改修、あるいは、これからさらに成長していく上で必須となるオペレーション効率化のための新基幹システムの導入などについては、ほぼ予定どおり完了しております。これから事業が順調に伸びていく中で、既存の事業も耐えられる事業基盤が、この半年間でかなり整備されてきたと評価しております。

また、繰り返しになりますが、新規事業のナイロンリサイクル事業については、当初の予定よりも若干前倒しで実現できる見通しが立っています。さらに、それ以外の案件についても、外部企業との連携による新規案件が進捗しています。この半年間で、成長に向けた事業基盤がかなり強固になってきたのではないかなと思います。

連結損益計算書

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連結のP/Lです。2019年6月期第2四半期は、連結売上高が12億3,500万円で、前期比で9,900万円増加し、108.7パーセントとなりました。売上総利益が2億2,500万円で、前期比で約1億円の減少となっております。営業利益は、マイナス1億3,800万円。経常利益は、マイナス1億5,200万円です。

足元の利益だけを見ると非常に厳しい状況ですが、我々としては、ある種、想定していた赤字でもあります。想定外の部分もありますが、冒頭で申し上げたとおり、今期については事業基盤を整えることが最優先の課題であると考えておりますので、基本的には、この足元の状況を悲観的には考えておりません。今後、十分リカバリーしていける水準であると考えています。

セグメント情報

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それぞれの事業の状況です。再生樹脂事業については、2019年6月期第2四半期では売上高が3億8,700万円で、前期比で111.5パーセントとなっております。セグメントの損失はマイナス8,600万円で、前期比で7,500万円の悪化です。

産廃事業は、売上高が8億5,400万円。セグメント利益は7,300万円で、前期比で8,700万円の悪化です。

再生樹脂事業につきましては、基本的には研究開発費(の増加が影響しています)。先ほど申しました、ナイロンリサイクル事業の早期の立ち上げに伴う研究開発費の増加という、前向きな資金ということが1点。

また、費用の増加は、足元の事業構造の収益性をより高めていくための施策の影響を受けています。我々は、外部に倉庫を借りて、再生樹脂製品の一部を保管していました。これらについても、できるだけ固定費を圧縮していこうということで、昨年度(2018年度)に千葉県富津市に構えた事業拠点の中に在庫をできるだけ移して、いわゆる家賃の発生を抑えようとしています。

この第2四半期で、これらの一部在庫の移動費用が発生し、費用増加の影響が出ています。第3四半期以降で、倉庫費用等の固定費がかなり圧縮されてきますので、収益的にはプラスになっていくだろうと見ております。

産廃処理事業は、売上が前期比で5,300万円増加し、106.6パーセントとなっていますが、セグメント利益が7,300万円で、(前期比で)半分以下の約45パーセントまで落ち込んでいます。

従来、我々のグループの事業構造としては、この産廃処理事業で安定的な収益を稼ぎながら、再生樹脂事業の新規事業に対する投資を行っていくという位置付けでした。しかし、産廃処理事業は、償却コストや埋め立てコストがかなり上がってきているといった外部の影響を直撃で受けており、非常に苦しいところです。

ただし、第1四半期と比較すると、第2四半期では収益性の改善が見えてきています。産廃処理事業としてのセグメント利益が、第1四半期は1,300万円ほどでしたが、第2四半期は5,900万円ほどということで、産廃事業の収益性はかなり回復しています。

先ほど申しました、諸々のコストアップに対しては、(2018年)夏以降、お客さまへの価格転嫁を順次推進してきております。(2019年)1月以降では、9割以上のお客さまで価格転嫁ができているということになります。

第2四半期でもかなり回復傾向にある中で、第3四半期以降はこれらの価格転嫁(の影響)が、数字としてさらに出てくるだろうと考えており、元の水準まで戻ってくるのではないかと見込んでおります。

したがって、足元の状況が数字として厳しいところについては、この結果のとおりですが、これまで打ってきている施策はほぼうまくいっているという評価をしておりますので、第3四半期・第4四半期以降では、収益も改善してくるだろうという見通しを持っております。

連結貸借対照表

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連結のB/Sの状況です。あまり大きな変動はございません。足元の収益の悪化に伴い、純資産が減少しています。

ナイロンリサイクル事業の状況

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事業ごとの今後の見通しです。まず、ナイロンリサイクル事業を(2019年)4月から立ち上げ、量産開始するということで、現在、最終準備を進めております。

こちらについては、先ほど申しました遊休の工場を活用することで、いわゆるユーティリティー、インフラの投資コストを抑えるということ。また、工場をそのまま活用できますので、立ち上げのスピード化が可能になるといった目的を持って、愛知県一宮市の遊休工場を借り受けて事業化を行うことが決定しております。

例えば、自動車のエアバッグは、ナイロンの生地がシリコンでコーティングされています。このナイロンの生地から、コーティングされているシリコンを剥離する、つまり剥がすということ。また、剥がした後、ナイロンの原料としてペレット化するというところまでを、新しく立ち上げる愛知県一宮市の工場で行おうと考えております。剥離をする工程、およびペレットにするための押出機を、この愛知県一宮市の工場に設置して、稼働させていきます。

剥離のコア技術については、数年前に我々が開発し、量産化のプロセスを確立するために、いろいろと試行錯誤してきました。今回の剥離工程の量産化のプロセス、量産化技術に関しては、外部企業との連携等により、繊維製品を加工するときの技術を応用して、我々の剥離のためのプロセスに取り入れました。

繊維製品の加工技術を取り入れたことで、低コストで量産化することが可能になったということがポイントです。実は、愛知県一宮市は、まさにこの繊維の加工がさかんな、繊維の産地でもあります。

我々は、繊維加工を行っていた工場で、遊休となった工場を借り受け、剥離のプロセスと押出機といったコア設備だけを持ち込み、量産化のプロセスを作っていこうとしています。

繊維の加工技術を応用しておりますので、エアバッグだけではなく、魚を採る大きな漁網も、同じようなプロセスで再資源化できる目途が立っております。また、それ以外にも、さまざまな廃棄物、とくに繊維系の廃棄物(の製品化が実現する可能性があります)。

あるいは、今後の1つの経営課題となってくると考えているのが、繊維系ではなく、例えばフィルムでコーティングされている、フィルムが積層されているような廃棄物のリサイクル・再資源化です。こちらも、この工場で担っていける可能性があります。まだまだこれから技術を開発する必要がありますが、かなり可能性が広がる工場になっていくだろうと思っております。

ここで素材化され、ナイロンのペレットになったものを機能化(コンパウンド)して、それぞれの用途に応じた物性を作り込んで販売していきます。この機能化に関しては、我々が従来から一部行っておりまして……漁網由来のナイロンペレットを機能化して売るということは、年間で1億円程度のビジネスとして、細々とやってきました。

この技術と合わせて、機能化した付加価値の高いナイロン樹脂を販売していくには、まずは機能化の手前の素材化のところで供給量を増やす必要があり、年間3,000トン程度処理できるプラントを立ち上げようとしています。

製鋼副資材製造事業の状況

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製鋼副資材は、いまある設備で24時間のフル操業を行っています。お客さまの需要を満たそうとすると、大幅な生産能力の増強が必須です。こちらについては、まずは2019年6月期、今期中に、生産能力を2倍程度まで増強することを予定しています。

需要としては、我々が現在供給している量に対して、優に10倍弱ほどの需要があります。まずは2倍程度まで生産能力を増強し、その後もさらなる生産能力増強を、積極的に推進していこうと考えております。

こちらは、廃棄物を原料として活用できる可能性も非常に高いです。現在は、カーペットの繊維部分と無機物を混合して圧縮成型することで製品化しておりますが、(今後は)カーペットの繊維だけでなく、その他の繊維製品、あるいはまったく関係ないようなものも原料になり得ます。

まさに我々も産廃処理事業で苦しんでいますが、さまざまな廃プラ類の焼却コストおよび埋め立てコストが、日本全体で非常に上がってきています。さらに、コストが上がるだけではなく、一部では既に受け入れ不可というところまできています。

このように世の中全体で滞留しているプラスチック類、あるいは繊維系の廃棄物を、この製鋼副資材の原料として活用できるようなところまで持っていければ、かなり大きな需要(があると考えています)。

この(製鋼副資材製造)事業で、(廃棄物を原料として)取り込むことによって、現在、かなり高止まりしている焼却・埋め立てコストが、相当収益性の高いビジネスに転換していける可能性があります。

まずは、今期中に生産能力を2倍程度(に高める)ということで(取り組んでいます)。また、来期以降、さらにこの生産能力を高めるためにどのような手が打てるかということを、社内で検討しているところです。

中期成長ストーリー

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こちら(スライド)は、期首に掲げた中長期の成長ストーリーです。事業がそれぞれ、カーペットリサイクル・産廃処理事業・製鋼副資材・ナイロンリサイクルとありますが、期首に予定していた今期のテーマについては、すでに完了しているものと、順調に進捗しているものがございます。

カーペットリサイクルに関しては、既存工場の大規模修繕工事が予定どおり完了しております。

また、産廃処理事業でも、新しい基幹システムの導入が完了しています。年間で数万件、月に数千件というような受注件数がありますので、このような細かい受注の積み上げを効率的に運用できるシステムということで、現場のドライバーから工場、そして本社の管理部隊まで含めて、情報がリアルタイムで一括して共有できるような仕組みを設けております。

既に完全にこのシステムに切り替えておりまして、極めてうまく導入・運用が進んでおり、現場・管理系の業務の効率化がかなり進んできています。運用を始めてまだ間もないので、進捗しながら(修正が必要)ですが、今期中には初期導入の部分の問題もすべて解消されて、かなり効率的な運用ができるようになり、結果的にコストが下がる、生産性が上がるといったことを期待しています。

製鋼副資材は、生産能力増強が今期のテーマの1つです。今期末には、2倍程度まで(生産能力を)引き上げていくという目途が立ちつつあります。

ナイロンリサイクルについては、今期中の立ち上げが期首の目標でしたが、(2019年)4月から立ち上がるということで、スケジュールが若干前倒しで進み、非常に順調に進捗しています。

その他、開発中の新規案件でも、開発が粛々と進んでいます。来期以降、新たな事業、新たな展開を実現できるのではないかなと見ております。

成長ストーリー実現時の再生樹脂事業の売上見込

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(スライドのグラフは)期首の段階で、どういったところをターゲットとしていくのか、ということでお示ししたグラフです。3年後(2021年6月期)に、再生樹脂事業のみで売上20億円超を目指して、今期中にもろもろの基盤整備を行っていくということでした。

成長の大きな核になっているのが、再生ナイロン事業です。今後の成長の一番重要なポイントと考えておりましたが、こちらの立ち上げの目途がほぼ立ちました。今後は、(2019年)4月以降に生産を開始し、販売していく中で、成長の最も大きなポイントとなる再生ナイロン事業の売上拡大を図ります。

製鋼副資材については、お客さまからの需要がかなり大きいですし、この事業を拡大していく上での外部環境も、我々にとってはフォローの状況がどんどん強くなってきています。製鋼副資材も、拡大に向けて、もっと積極的に仕掛けていこうと思っております。

今期中に事業基盤を構築するということについては、非常に着実に進捗しています。来期以降の大きな成長に向けて、着実に基盤の強化ができてきていると思っています。足元の数字が弱いところはございますが、来期以降に大きな数字を出すための下地がしっかりできてきたと考えております。

2019年6月期業績予想

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今期の通期の見込みは、現段階では期首に掲げた2019年6月期予想を据え置こうと考えております。足元の数字から見ると、達成する可能性は厳しいのではないだろうかという見方も、当然あろうかと思います。

しかし、前期は工場の不具合等がありましたが、前々期の第3四半期・第4四半期の実績をベースとして考えると、現在の足元の数字からすると十分達成可能なレンジにあると思っております。

いまの段階では、期首に掲げた通期予想を変えず、この(通期予想の)達成を目指して、諸々の施策を打っていきたいと考えております。

以上、大変早口でございましたが、当社の決算の概要のご説明とさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

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