今年こそは貯金をしようと意気込んでいる方も多いのではないでしょうか。ただ自分の貯蓄が周囲の人と比べて多いのか、少ないのか。なかなか聞きたくても仲の良い友人や親戚にも、さすがに貯蓄額を聞くのは躊躇しますよね。

今回は総務省が発表した2017年の「家計調査報告(貯蓄・負債編)」(2018年5月18日発表)を基に貯蓄額の平均値と中央値についてご紹介したいと思います。

1世帯あたりの貯蓄額の平均値と中央値は?

「家計調査報告(貯蓄・負債編)」で発表された2017年の1世帯当たり貯蓄現在高(平均値)は1812万円で,前年度に比べ8万円,0.4%の減少で、5年ぶりの減少でした。

では世帯主の年齢階級別平均値を見てみるとどうでしょう。40歳未満が602万円、40代が1074万円、50代が1699万円、60代が2382万円、70歳以上が2385万円となっています。

なお、この調査において「貯蓄」とは金融機関 への預貯金,生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)。並びに株式,債券,投資信託,金銭信託等の有価証券といった金融機関への貯蓄と,社内預金,勤め先の共済組合など金融機関外への貯蓄も含まれます。

さて、平均貯蓄額1812万円という数字を目にして、みんなそんなに貯蓄があるのか?と驚く方も多いかもしれません。しかし平均値とは極端に貯蓄額が多い人(例えば億単位など)がいれば、その値に強く影響される為、必ずしも現状を表す数字ではないです。
現に、2人以上の世帯において貯蓄現在高階級別の世帯分布(下記参照)を見てみると、平均値(1812万円)を下回る世帯が67.0%(前年67.7%)と約3分の2を占めており、さらに「貯蓄100万円未満」の階級が全体の10%も占めているのです。

 

出所:総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-平成29年(2017年)平均結果の概要-(二人以上の世帯)」

そこで「平均値」より、より現状に近い数値を表してくれる値として、「中央値」という値があります。中央値とは各々の貯蓄額を順番に並べていき、ちょうど真ん中の人の貯蓄額を中央値とします。

例えば、Aさんの貯蓄額が1憶円、Bさんが5000万円、Cさん1300万円、Dさん800万円、Eさんが500万円とすると、中央値の場合は5人の貯蓄額を多い順番に並べていき、ちょうど中間の人の貯蓄額が中央値となります。その為、貯蓄額の中央値はCさんの1300万円です。

では平均値で考えるとどうなるでしょう。
(1憶円+3000万円+1300万円+800万円+500万円)÷5人=3120万円

となり、3120万円が平均値となります。

しかし、ここで計算したもとの5人の貯蓄額に目を戻すと、3120万円を超えているのはAさんのみです。この様に元々のデータを知っている場合だと平均値に違和感を持つ場合もあるのです。その様な場合は中央値も踏まえて見ていくと良いでしょう。

中央値から見えてくる実態とは?