米株の上昇や円安傾向を受けて日本株も反発

2019年3月15日の日経平均株価の終値は、前日より163円83銭高の21,450円85銭となりました。3日ぶりの反発です。

中国の全国人民代表大会(全人代)が15日に閉幕し景気刺激策発表への期待が高まったことなどから、中国の上海総合指数が一時1%あまり上昇しました。さらに、円相場が一時1ドル=111円90銭近辺まで円安・ドル高になったこともあって、日本株も機械や自動車など輸出関連株が広く買われました。

今週以降の動きはどうなるでしょうか。日本株はここ数か月、米国の株式相場につられる展開が続いています。

米中間の通商協議については15日、中国の新華社通信が、劉鶴副首相と米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表およびムニューシン米財務長官が電話協議を行い、貿易協議について進展があったと伝えました。これを受けて投資家心理が改善し、ダウ工業株30種平均は3日続伸しました。

15日のニューヨーク外国為替市場で円相場は反発し、前日比20銭円高・ドル安の1ドル=111円45~55銭で終えました。ただし、年初に108円前後であったのと比較すると円安傾向であることは確かで、日本株にとっては今週も追い風になりそうです。

今週、注目されるイベントは19日~20日に開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)です。今回、利上げの見送りは織り込み済みですが、その後に委員が発表する景気や物価の見通しが下方修正になると予想されていることから、相場に影響を与えそうです。いずれにしても週初はFOMCに向けて様子見の動きになるかもしれません。

一方、英議会下院は14日、欧州連合(EU)からの「離脱延期」の動議を可決しました。いわゆる「合意なしの離脱」は避けられそうですが、先行きは不透明です。急なニュースで相場が急に動き出すこともあるので注意が必要です。

国内では、3月期末に向けて、銘柄によっては配当権利取りを狙った売買により価格が乱高下することもあるので柔軟に対応できるよう備えたいところです。

ローソク足の実体が25日線、75日線をいずれも回復

先週の動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。前週末8日に長い陰線となり、ローソク足の実体が25日移動平均線、75日移動平均線をともに割り込んでしまいました。

ここから75日線に上値を押さえられて下落するのではないかと心配されましたが、実際には週初11日に一時20,938円と21,000円を割り込んだもののその後は下ヒゲを付けて上昇し、陽線引けとなりました。翌12日には窓をあけて上昇。週末には25日線、75日線をともに回復しました。

今週以降の展開はどうなるでしょうか。25日線、75日線を回復したものの、ローソク足の実体の長さは短く、陰線と陽線が繰り返し現れているような状況です。投資家の迷いが感じられます。

しばらくは25日線、75日線をはさんでもみ合う展開になることも予想されます。その過程で25日線や75日線を再度割り込むこともあり得ますが、上下の幅が小さいレンジ相場ではよくある現象なのでさほど心配する必要はないでしょう。

ただし、3月11日の安値(20,938円)を割り込むと短期的には下降トレンドになることに加え、2月8日の安値(20,315円)を割り込むと、年初以来続いた中期的な上昇トレンドも崩れてしまうので注意が必要です。

しかし、現在は10月2日の高値(24,448円)と12月3日の高値(22,698円)を結ぶ下降トレンドを抜け上昇トレンドに転じていることから、ある程度の調整があったとしても押し目買いが入る可能性が高いでしょう。

上値めどとしては、3月4日の高値(21,860円)や、目先意識されやすい22,000円あたりになるでしょう。このあたりは過去にもみ合い、売買も積み上がっていることから抜けるにはパワーがかかりますが、抜けてしまえば強いサポートになることが期待できます。

下原 一晃