歌詞のない国歌の歌詞

サッカー強国の一つ、スペインの国歌はワールドカップなどでおなじみではないでしょうか。歓声に耳を奪われて気づかない人もいるかもしれませんが、スペインの国歌には歌詞がありません。

動画など音声のあるメディアなら曲を流すこともできますが、文字メディアではそうはいきません。空白にするわけにもいきませんので、とりあえず歌詞をご紹介します。1939~1975年、フランコ政権下では歌詞があったのです。

「国王行進曲」
ビバ、スペイン
スペイン人の子どもたちよ、腕を高く上げよ
スペインは再び浮上し、よみがえる
青い海と太陽とともに生きることを知っていた先人たちにならい祖国に栄光あれ

歌われることなく消えた歌詞

フランコ政権は、戦争中は中立を守りましたが、戦後は独裁政権との批判から孤立します。75年、フランコ死去、政権弱体化とともに歌詞も消えていきました。

フランコ政権のあとは、ファン・カルロスが王位に就き王政が復活します。カルロス王の父、アルフォンソ13世の時代にも、歌詞がつけられています。

グロリア、グロリア、栄光の王冠よ
王位に輝く光
あなたの黄金の冠よ

同じ曲なのに、なぜか詩はずいぶんと短かったようです。ゆったりと雄大に歌われたのでしょうか。しかし、この詩が公の場で歌われることはなかったそうです。アルフォンソ13世が国外亡命し、王政が廃止されたからです。まさしく「まぼろし」の歌詞となりました。

旧国歌「リエゴ賛歌」の別バーション